既存建築物のCO2削減効果

既存建築物をZEB改修した場合は、新築ZEBより、より多くのCO2削減することに繋がります。
新築(建替)ZEBの場合は、建築、解体などにより、多くのCO2が排出されます。ZEBでは運用時のCO2排出量が少ないため、建物のライフサイクルに占める建築、解体のCO2排出量が無視できない大きさになります。ZEB化改修は、その排出量を避けることができます。

建物60年利用の場合

Whole Life Carbon(建物の資材製造、建設から廃棄までの建物に関係するCO2排出量の合計。WLCという。)を比較したケーススタディ結果を示します。平均WLCは、WLCを建物使用年数で割った値になります。

平均WLC
「ZEB改修」築23年の建物をZEB改修して37年使用した場合:93.7kg-CO2/(m2・年)
「解体建替」解体、建替をして60年使う場合:115.7kg-CO2/(m2・年)
「継続使用」現性能で改修して37年使用する場合:158.5kg-CO2/(m2・年)

「継続利用」と比較した平均WLCは、「ZEB改修」が41%減、「解体建替」が27%減となります。
ZEB改修のCO2削減効果は、新築(建替)より圧倒的に高くなります。

出典:J-CAT使用登録者向け限定講習会『建築物ホールライフカーボン算定ツール:J-CAT』~算定ツールを用いた多様なケーススタディ~第4回 J-CATを使ったケーススタディ(4)2024年6月26日 掲載のデータをもとに弊社作成。
ZEB改修工事にかかる排出量は資材製造・建築施工に含まれる。

建物80年使用の場合

上記データを用いて、建物を80年稼働の場合を推計しました。解体建替を80年使用、ZEB改修、継続使用は43年目から37年利用としました。解体建替の資材製造、建築施工と解体のWLCに60年/80年をかけて推計しました。

「継続利用」と比較した平均WLCは、「ZEB改修」が41%減、「解体建替」が30%減となります。
建物80年使用の場合でも、ZEB改修のCO2削減効果は、新築(建替)より高くなります。

出典:J-CAT使用登録者向け限定講習会『建築物ホールライフカーボン算定ツール:J-CAT』~算定ツールを用いた多様なケーススタディ~第4回 J-CATを使ったケーススタディ(4)2024年6月26日 掲載のデータをもとに弊社作成。
ZEB改修工事にかかる排出量は資材製造・建築施工に含まれる。